物理学科の概要


目次

1 学科の教育・研究の理念 2 学科の教育・研究目標 3 学科の施策 4 学科の構成
自然の謎に挑む!

「物理学とは何だろうか」の中で朝永振一郎博士(1965年ノーベル物理学賞)は、物理学は自然界に起こる現象の奥に潜む法則を、観察事実に照らして探求するものと述べています。このような物理学の方法がガリレイ、ニュートンらによって確立して以後、現在までの発展は目覚しいものがあります。素粒子、原子核や原子分子の極微の世界から壮大な宇宙までを対象にして、物質は何からできているのか、宇宙の始まりはどのようにして起こったかを探求できるようになりました。また、身の回りにある物質の性質構造の探求にとどまらず、未知の物質の探索設計も真剣に考案されつつあります。コンピューター、高度医療機器、エネルギー関連等々の広範な科学技術の基礎は物理学によって支えられています。21世紀においても謎に挑戦しながら発展していくことでしょう。
物理学科では古典物理学から始めて現代物理学の基礎までをしっかりと身につけて大学院で高度な研究ができるように、講義、実験、演習を配置しています。少人数ゼミやインターンシップの特別科目も設置しています。4年生の課題研究では専門性の高い具体的テーマを課して、少人数の密度の高い指導を目指しています。卒業後は、未知の課題に直面したときの処理能力を生かして様々な分野で活躍しています。また多くの学生が、研究を進めるために大学院へ進学しています。
地下1000mに太陽や超新星からのニュートリノの観測のために、12000個の直径50cmの光電子増倍管が設置されています。我が新潟大学のチームも、この巨大な地下観測装置の建設と観測に参加しています。


理学部物理学科の理念・目標とその施策

1 学科の教育・研究の理念


 物理学は自然の仕組みを理解し明らかにする学問でありその研究対象は素粒子,原子核や凝縮体の物性だけに留まらず,宇宙から生命までへとますます拡がり,その成果は現代社会を支える科学技術の基礎となっている。21世紀においても,物理学はエネルギーや環境問題などの地球的課題や生命などの先端的課題に対してますます重要な役割を果たす事が期待されている 。
 教育においては,基礎能力とともに,物理学のもつ普遍性と多様性を基盤として,広く社会の諸問題に対処し得る柔軟な思考力・能動的な問題解決能力を持った人材の育成に貢献する。
研究においては,ミクロからマクロまでの広範なスケールにおける自然現象を現代的視点をもって研究し,特化された分野において世界をリードする特色ある研究を目指す。

2 学科の教育・研究目標

(1)

 教育目標 〔柔軟な思考力・能動的な問題解決能力の自己開発育成〕
 物理学の基本と思考方法が修得できるように体系的に教育を行い,物理学の研究や科学技術の分野で柔軟な思考力と能動的な問題解決能力を発揮できるための基礎作りを行なう。それによって知的文化の創造と人間社会の幸福に貢献できる人材を育て社会に送り出すことを目標とする。

(2)

 研究目標 〔五十嵐キャンパスから世界をリード〕
 物理学は自然の仕組みを観察事実に照らして明らかにする普遍性と多様性のある学問分野であり,伝統ある研究分野の継続・発展を計りながら,常に新しいフロンティアを探求し現代的課題に対応する。そのため,研究組織の編成,施設の充実に努め,従来のアカデミズムの亜流に甘んずることなく研究テーマを設定して,五十嵐キャンパスから世界をリードするような研究成果を発信することを目指す。

3 学科の施策

(1)

 教育目標達成のための施策 〔理論と実験の充実した体系的教育〕
 意欲ある入学者の獲得とその意欲に応える教育を行うため, 学生の自主性を尊重しつつ,古典物理,量子力学,統計力学など基礎科目の積み上げを重視したカリキュラムを編成し,修士・博士大学院コースのより高度な教育と研究につなげる。具体的施策として,
■ 実験と演習・ゼミをバランスよく充実させることにより, 基礎能力の育成ならびに,具体的,能動的に問題を把握し解決する能力を訓練する。
■ 講義内容の精選と授業方法の改善をはかり, ティ−チングアシスタントの積極的活用を含め体系的教育の質的向上を目指す。
■ 社会人や留学生を含む大学院への入学者を増やすために,学科で取り組んでいる先端的研究の成果を,学部学生,他大学の学生,高校教師,および社会人に向けて広く伝える動をする。

■ 学部卒業者ならびに大学院修了者の就職先の開拓を検討するため企業等とのコミュニケーションを図る。

(2)

 研究目標達成のための施策 〔独創的な研究と国内外共同研究の推進〕
学科内に将来計画委員会を常置して研究目標を達成するための施策を議論し,大学院自然科学研究科の物理系教員と合同で研究体制・研究計画や教員採用人事の方針など重要事項の検討,研究評価を行なっている。具体的施策として,
■ 研究環境の整備充実をはかるため,学内の部局間にまたがる大型研究プロジェクトの立案・申請,学内の関連研究者の組織化を積極的に行う。

■ 宇宙,素粒子,原子核,物性などの各グループの独創的な研究を進展させると同時に,国内外の共同研究プロジェクトに積極的に参加し,プライオリテイ−を発揮できる体制の整備に努める。

■ 海外の研究機関との共同研究や海外への研究成果の発信のため,研究者レベルに留まらず,研究組織レベルでの国際交流を推進する


4 学科の構成

 物理学科は、宇宙物理学大講座、粒子科学大講座、物性科学大講座の3つの基幹講座と、大学院自然科学研究科のエネルギー物質科学大講座、エネルギー変換科学大講座、物質情報科学大講座の物理系教員から成り立っています。
*注 : 国立大学の独立法人化と大学院改組に伴い、教員の所組織の名称も変更の予定です。新しい構成についてはもうしばらくお待ち下さい。

お願い :メールアドレスは、アドレス中の[atmark]を@に置き換えて御使用下さい。

宇宙物理科学大講座
合体する連星中性子星の一般相対性理論的数値シミュレーション
家富 洋
教授
計算物性、プラズマ物理
複雑物質(超イオン導電体、多成分ガラス,ナノセラミックス)の構造とダイナミックス
高密度プラズマの物性と天体物理への応用
物質シミュレーションのための計算手法(密度汎関数法、分子動力学、並列計算)の開発
hiyetomi[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
松尾 正之
教授
原子核物理学(理論)
原子核の集団運動、不安定原子核の構造の研究
matsuo[atmark]nt.sc.niigata-u.ac.jp
大原 謙一
准教授
数値シミュレーションによる宇宙物理学
一般相対論的天体物理学
oohara[atmark]astro.sc.niigata-u.ac.jp
時空の格子構造を考えると、新しい対称性(超対称性)が実現できるかもしれない。
宮田 等
准教授
素粒子物理学(実験)
加速器を用いた高エネルギー電子陽電子衝突反応の研究、高性能放射線測定装置の開発研究.
miyata[atmark]hep.sc.niigata-u.ac.jp
川崎 健夫
助教
素粒子物理学(実験)
電子陽電子衝突型加速器を用いたCP非対称性に関する研究、高精度半導体位置検出器の開発
kawasaki[atmark]hep.sc.niigata-u.ac.jp
粒子科学大講座
谷本 盛光
教授
素粒子論
ニュートリノ物理と統一理論
tanimoto[atmark]muse.sc.niigata-u.ac.jp
山田 裕
教授
物性実験
酸化物超伝導体の合成と物性
強相関電子系物質の高圧下での物性と単結晶構造解析
yamada[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
小池 裕司
准教授
ハドロン物理学理論
高エネルギー過程と核子のクォーク・グルーオン構造の研究
koike[atmark]nt.sc.niigata-u.ac.jp
渡辺 一也
助教
宇宙物理学
光的測地線を用いた手法による宇宙モデルと重力理論の観測的検証についての研究
kazuya[atmark]astro.sc.niigata-u.ac.jp
理化学研究所の重イオン加速器施設を用いた原子核の研究を行っている。写真は本実験のための新しい検出器システムのテスト実験をしているところ。


物性科学大講座
大野 義章
教授
物性理論
強相関電子系、動的平均場理論、重い電子系、超伝導
y.ono[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
400MHz核磁気共鳴装置。液体半導体の非金属−金属転移の研究に使用する。
土屋 良海
教授
物性実験
高温液体の構造変化と濃度揺らぎ、非金属-金属転移の研究
yoshimi[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
中野 博章
准教授
素粒子論
超対称な場の理論や弦理論に基づく統一模型
nakano[atmark]muse.sc.niigata-u.ac.jp
大坪 隆
准教授
原子核物理学(実験)
不安定核の核構造および核物性研究
ohtsubo[atmark]np.gs.niigata-u.ac.jp
奥西 巧一
助教
統計物理学
密度行列くりこみ群の開発と応用、低次元量子スピン系
磁化過程とダイナミクス
okunsihi[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
高速イオン導電体フッ化カルシウムとフッ化バリウムの積層構造の界面におけるイオンの可視化イメージ.青がフッ素イオンを,赤がカルシウムイオンを,緑がバリウムイオンを表しており,蛍石型構造をとる結晶中をフッ素イオンが拡散運動している様子を描いたもの
大学院自然科学研究科自然構造科学専攻
鈴木 宜之
教授
原子核物理学(理論)
エキゾチック原子核の構造と反応の研究
少数多体問題の計算物理学的研究
suzuki[atmark]nt.sc.niigata-u.ac.jp
後藤 輝孝
教授
固体物性(実験)
強相関電子系の極低温電子物性
軌道・荷電自由度系の超音波物性
超音波によるフェルミ面と超伝導の研究
goto[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
根本 祐一
准教授
固体物性(実験)
強相関電子系の磁性と超伝導
軌道・荷電自由度系の超音波物性
nemoto[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp

トップローディング型希釈冷凍機と超電導磁石。極低温(20mK),強磁場(18T)での超音波計測により強相関電子系における磁性や超伝導の研究を行っている。
西 亮一
准教授
宇宙物理学
初期宇宙での星形成および銀河形成進化についての研究
nishi[atmark]astro.sc.niigata-u.ac.jp
石川 文洋
助教
固体物性(実験)
金属間化合物の多重極限環境下物性、遍歴電子磁性
fumihiro[atmark]phys.sc.niigata-u.ac.jp
新原 佳弘
助教
原子核物理学

shimbara[atmark]np.gs.niigata-u.ac.jp
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