新潟大物理学科の研究概要と特色


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新潟大学物理学科では素粒子、原子核、またそれらからなる多様で豊かな物質の世界、そして壮大な宇宙までを対象にして教育研究がすすめられています。 また、身の回りにある物質の性質構造の探求にとどまらず、新奇物質の創成も真剣に研究されはじめています。 これらの研究は国際的にも高く評価されており、世界トップレベルに位置しています。 実際、2005年10月首相官邸で行われた総合科学技術会議の資料によると、ISIによる国際ジャーナルにおけるここ数年の新潟大学の物理関連の研究の引用度は2.5で、旧帝大に代表される大きな大学を押さえて全国トップの値を叩き出しています。これは、新潟大学に置ける個性的な研究とその質の高さを表すものです。 具体的な新潟大物理学科の特色は以下のようになっています。
  1. 2002年度のノーベル物理学賞は「ニュートリノ天文学」であったが、この研究には新潟大学グループはカミオカンデ創設時から参加し、これまで多数 の院生が実験に加わり、ノーベル賞研究を支えた。現在も引き続き、スーパーカミオカンデに参加し、次世代実験に取組んでいます。また、宇宙初期の物質誕生の謎の解明につながる素粒子のCP対称性の破れを検証するBelle実験などでも、新潟大学のチームは中心的な役割を担っています。

     

  2. 理論研究では、宇宙における物質の起源と成り立ちを解明する上で鍵となっている、 エキゾチック原子核の有限量子系の計算物理、一般相対論的天体や重力波の大規模シミュレーション、 格子ゲージ理論によるシミュレーション、ニュートリノ振動、宇宙ニュートリノに関する数値計算、 ハドロンの高エネルギー反応、星内部や超新星など、物質起源に関する計算物理学的研究が新潟大物理の特徴です。 これらの研究ははそれぞれ世界的注目を浴びており、今後の研究の発展が期待されています。

     

  3. 原子核実験では、低温核偏極実験に優れた成果が生まれており、世界におけるユニークな実験拠点の形成が進められている。ヘリウム液化機の更新も 決まり、さらなる展開が期待されています。また、理化学研究所における次世代重イオン加速器のプロジェクトにも重要な貢献をしています。

     

  4. 物性実験では、すでに超音波計測が強相関電子系の世界第一級の研究拠点であり、ギガヘルツ高周波、高圧など極限超音波計測へ発展しています。 また、ヘリウム液化器も更新され、様々な実験設備の整備も大幅に進みました。個性的な研究施設に加え、スタンダードな実験環境としても全国レベルです。 近年の目覚しい結果としては、超音波計測を用いて明らかになったラットリングと呼ばれる固体中原子の局所振動の効果があります。これは新潟大発の新しいキーワードとなりつつあります。また、Pr247化合物という新奇超伝導物質も新潟大学で発見され、そのメカニズムの解明へ向けて注目が高まっています。 さらに、長年の液体金属の研究は共有性結合液体の新奇相転移の探索とその出現機構の微視的解明に発展しつつあり期待されています。

     

  5. 物性理論研究においては、近年次々と創製される新物質に対応すべく、精度の高い物性予測と、そのための計算手法の開発に重点をおいてきました。 特に、相対論的バンド計算による電子構造などの特筆すべき成果は新潟大の特徴であり、仁科記念賞の対象にもなりました。 最近では、強相関電子系における 計算物理学にも力を入れており、物性実験グループとの連携も重視しています。実験グループにより発見されたラットリングや新奇超伝導物のメカニズム解明では、大学院生が中心になって注目される結果を生み出しています。 また、燃料電池などに用いられている超イオン導電体のように応用面につながる研究や、最近流行の統計力学の手法を経済現象などの新しい対象に応用する試みも始まっています。

     

大学の規模自体では旧帝大などにはかないませんが、独創的で手作り感のあふれた研究により世界の最先端を切り開いてみたいという自然科学本来の面白さを引き出すために、新潟大学理学部物理学科は最も適した場所であるといえるでしょう
研究グループ

素粒子理論

原子核理論

宇宙物理学

原子核実験

高エネルギー

物性理論

物性実験